全国高等学校長協会家庭部会 理事長
栃木県立宇都宮中央女子高等学校長

日向野 勝

 日頃より、全国高等学校長協会家庭部会の諸活動にご理解・ご協力を賜り感謝申し上げます。
 本部会は、高等学校家庭科教育の振興を図ることを目的として、昭和26年に発足いたしました。以来今日までの間に、少子高齢化、グローバル化、ITの進歩、社会構造や生活様式、人々の価値観、親子関係など、数え上げればきりがないほど、生徒を取り巻く環境は大きく変化してきました。そのような変化に対応しつつ、家庭科教育は、主体的に家庭や地域を創造できる力量を備えた人材の育成という大きな目標に向け、大いに成果を上げてまいりました。しかしながら、今後の超高齢化社会の到来とともに、AI、ビッグデータ、IoT等の先端技術の高度化があらゆる産業や社会に取り入れられることで、産業の仕組みや社会生活の在り方そのものが、今までとは比べようのないほど劇的に変化していくと言われております。そういった将来の社会において子ども達一人一人が、豊かにかつ心穏やかに生き、自己実現を図れるようにしていくためには、変化に対して受け身で対処するのではなく、目指す社会像を共有し、積極的に社会に働きかけ実践していくことができる力を、高等学校教育の中で育成していかなければなりません。校長協会家庭部会としましては、こういった視点で家庭科教育が何を為すべきかをしっかり見極め、第一線で活躍する家庭科の先生方が、自信と誇りをもって日々の教育活動に当たれるよう支援する立場で、様々な取組を実践してまいります。なお一層の御理解ご協力をお願いいたします。
 

○次期学習指導要領に基づく教育課程の編成及び実施に向けて
 昨年3月に高等学校の次期学習指導要領が告示され、各学校におかれましては、この改訂を受け「社会に開かれた教育課程の実施」「知識の理解の質をさらに高めた確かな学力の育成」を図るため、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上をめざす「カリキュラム・マネジメント」の確立に向けた取組が進められております。
 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの充実のためには、教育課程の編成のみならず、実施、評価、改善の過程を通じて教育活動を充実していくことが重要であるとされており、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善や学習評価の在り方が鍵となって参ります。
 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に関しましては、生徒たちが各教科・科目等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連づけてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ることが求められております。家庭科における主体的・実践的な学習活動である学校家庭クラブやホームプロジェクトは、まさに「深い学び」の実現につながる、先行的な取り組みであると言えます。各校における探究的な学びの推進に、家庭科の先生方にはフロントランナーとしての役割を大いに期待したいと思っております。
 

○家庭科教員の資質向上
 教育改革の方向性を踏まえ、我々教師には、生徒に求める「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」はもとより、生徒一人一人に対してこれらの力を引き出す、「コーディネート力」「コミュニケーション力」「ファシリテーション力」「行動力」などが大いに求められております。そんな力量を身につけた教師の取り組みにより、変化の激しい時代において、課題を発見し、解決に向け協働し、最適解を導けるしなやかでたくましい人材が育まれていくのだと思います。全国の家庭科教員一人一人が、その役を担えるよう、本部会としても、家庭科教員の資質向上に向け、鋭意取り組んで参りたいと考えております。
 

○家庭科教育の社会的評価を高める組織的な取組
 本部会の専門教育に関する調査研究委員会では、平成28・29年度において、「家庭に関する学科における学習の多面的な評価の充実と活用に向けて」と題し、家庭科教育、特に技術検定や家庭に関する学科に関する社会的評価を高めるために調査研究を行いました。その結果を受け、昨年度は今までの全国大学協会等への訪問に加え、各都道府県においても、生徒の進路先と想定される大学・短大・専門学校への要請訪問を実施して頂きました。家庭科を学んだ生徒達の志望する進路先が、各都道府県に密着した大学等が多いということを受けてのものです。お忙しい中、各都道府県の代表理事をはじめ多くの校長先生にご協力をいただき感謝申し上げます。報告を伺いますと、各都道府県において、多くの大学・短大・専門学校では、各高校の教育活動、特に家庭科技術検定への理解が、大いに深まりつつあるとの実感を得ております。今後もこの取り組みを各都道府県で継続され、家庭科で学ぶ生徒の進路実現、そして家庭科教育の振興につなげて参りたいと考えております。何卒、御理解とご協力をお願いいたします。

 最後になりますが、今年度開催されます大会や協議会の主管校となります校長先生方をはじめ、開催県の先生方には大変お世話になりますが、よろしくお願いいたします。家庭科教育のより一層の振興・発展のために、今後とも、本部会に対する御理解と御支援を重ねてお願い申し上げます。